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w closet×JUGEM

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

原田マハ『キネマの神様』&金城一紀『映画篇』『対話篇』

〜映画がテーマになった本〜

 

★原田マハ『キネマの神様』。私世代には懐かしい映画のオンパレードで、映画評の部分だけでも読み応えがある、楽しみどころが満載の一冊。登場人物たちのそれぞれの再生の物語が、あふれる映画愛と共に描かれます。甘いばかりでないところが物語にリアリティを与えていて、良質の映画を観た後の幸福感につながる感情を呼び覚ましてくれます。とこかく、「ニュー・シネマ・パラダイス」が観たくなること間違いなしです(笑)

 

 

★映画絡みで、金城一紀『映画篇』も。メインとなる映画を中心におきながら、なくしたものを取り戻していく人たちを描いた短編〜中編の5作品。それぞれ独立した5作を結ぶ映画として「ローマの休日」が真ん中に据えられ、その他にもそれぞれの物語をつなぐ仕掛けがちょこちょこ散りばめられています。仕掛けに気付いていくのも楽しく、また、読み進めるごとに深みも出てきます。

 

★金城一紀『対話篇』再読。こちらは、「死」と「愛」が中心にある3作ですが、『映画篇』と続けて読むと、『対話篇』と『映画篇』も繋がっていたことに気付いて驚きます!読者サービスが好きな作家さんだなとつくづく…。2冊がそれぞれに補い合って、登場人物の解釈が重層的になる仕掛けなので、せっかくなら両方読むことをオススメしたい2冊です。

  • 2018.02.03 Saturday
  • 00:02

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

吉田修一『怒り』『小説「怒り」と映画「怒り」吉田修一の世界』

世の中の理不尽さに翻弄される人間を描くのがうまい吉田修一さん。人間の感情そのものが題名になった『怒り』は、映画化もされています。
映画は、オールキャストの名演のオンパレードで、それぞれの役が埋もれることなく印象的なシーンと共に記憶に残りましたが、(個人的には、広瀬すずさんのイメージを打ち破る女優っぷりに度肝を抜かれたのですが、)各キャストが演技で語っていた登場人物たちが、小説ではどう描かれているのか、興味津々で読みはじめました。

 

 

題名から、怒りという外に向かっていく破壊的な強い感情がメインなのかなと思いきや、それ以上に、相手を信じたいが故の人間の疑心暗鬼が、さらなる悪循環を生み出していく作品でした。エゴが、相手をそして自分を不幸にしてしまう様々の形と、それでも相手を信じずにはいられない人々。結局は、外へ吐き出して終わるような怒りだけではない、自分自身へも向かっていく怒りまでが描かれていて、人間のどうしようもない性に悲しみが募り切なくなりました。
映画ファンも楽しめる『小説「怒り」と映画「怒り」吉田修一の世界』には、スピンオフ的に、犯人に対する八つの証言も収録されています。これで犯人が見えてくるかと思いきや、証言が重なっていくほど余計に、体系的に言語でまとめられない人物になっていく感じでした。この犯人は、狂気や闇を抱えた一人の人間と言うよりは、日常に存在していて何かの拍子で私たちを脅かす可能性のあるものの象徴なのではないかとも感じられてきました。そんな存在にいつ巻き込まれるのかも分からない現実…。もしかすると、怒りという感情を持つ私たちも、脅かす側になってしまうのかもしれません…。

  • 2018.01.27 Saturday
  • 11:08

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

朝井リョウ『武道館』『ままならないから私とあなた』

年甲斐もなく最近夢中になっている作家が朝井リョウさん。デビュー作『桐島、部活やめるってよ』からひきつけられっぱなしで、彼の作品は、どんなジャンルでも驚きが用意されていて面白く、しかも、朝井リョウ色はちゃんと根底に流れているので、毎回うならされます。話の筋云々以上に、話の紡ぎ方に魅力を感じる作家です。

 

 

★『武道館』−アイドルという矛盾を抱えた存在を描き出していく中で、世の中に存在し続ける悪意や、いつでも加害者になり得る無自覚な大衆を浮き彫りにしていきます。やはり、単純なアイドル小説ではなかった!また、人が幸せになることとは、そして、人が選びとりたいものとは…が問われる小説でもありました。救いある読後感が、読者の背中をも押してくれます。

 

★『ままならないから私とあなた』再読。これは、初読の時に、その才能にノックアウトされた作品でしたが、やはり面白い!同時収録の「レンタル世界」も設定だけでない驚きに満ちた展開の作品。両作品共に、「ままならない」世の中で生きている私たちであるという真実が、作者ならではの切り口で描き出されます。では、そんな世の中を私たちはどう生きていくのか…。軽快な書きぶりでありながら、重厚な純文学を読んだ読後感。やはり朝井リョウはスゴイ!

 

(ただのファンレターのようになってしまいました@笑)

  • 2018.01.20 Saturday
  • 15:10

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

辻井いつ子『今日の風、なに色?』『のぶカンタービレ!』

昨年末に松山でも開かれた「辻井伸行 音楽と絵画コンサート」。驚きの音に震えましたが、個人的には、ハンディの中で才能を開かせてた辻井さんをサポートしてきたであろうご両親のことが気になって仕方がなく、自分は親として子どもに何かできたのか…と自問、反省させられたリサイタルともなりました。

 

 

ということで、辻井伸行さんの母、辻井いつ子さんの、誕生〜親や師から巣立つ19歳までの記録本を手に取りました。

本当なら人には隠しておきたいだろう母としての悩みも、日記をそのままに載せるなど包み隠すところがなく、きれい事だけでない現実がストレートに読者に届けられます。最終的にいつ子さんは、

「私のなかで伸行が『見えない』ということは、少なくとも芸術や美の鑑賞においては関係なくなりました。その点では『かわいそう』とも思いません。(略)美の現場において伸行はしっかりと聴覚や触覚、そして心でそれを味わうことができるのです」

という境地にまで。そこにたどり着くまでのいつ子さんの明るさと全力ぶりに、親としての感情が揺すぶられます。プロのピアニストが誕生するまでのキセキに、思わずいつ子さんの感情に寄り添って一緒に涙してしまう書。

  • 2018.01.13 Saturday
  • 12:28

俳句関連・書籍など 紹介

副会長・夏井いつきの新刊より2冊ご紹介

〜2018年俳句を始めてみませんか?〜

 

 

『2018年版 夏井いつきの365日季語手帖』(レゾンクリエイト)
毎日、季語と名句を一つずつ味わい、その季語を使った俳句も記録できる、俳句のある365日を送るための一冊。記入欄には発想のヒントもついています。

また、詠んだ俳句を投句すると、優秀句は次年度の季語手帖に掲載されるという特典付きなので、2018年度版には、読者から投稿された俳句が、各季語ごとに掲載されています。愉快なのは、季語毎の選句なので、投句が一句しかなかったものも「ラッキー掲載」されていること。初心者でも、投句の少なそうな季語にチャレンジすれば掲載されるチャンスありです!その上、2019年度版では、投稿俳句が本編の名句鑑賞にも採用されるとのこと。投句や書籍掲載などの目的をもって俳句を始めたい人にオススメです。

 

 

『2択で学ぶ赤ペン俳句教室 』(ヨシモトブックス)−バラエティ番組「プレバト! ! 」の公式本第2弾!−
俳句を学びたい人のための、番組で出てきた俳句を使った「俳句教室」。番組の記録としても楽しめますが、どちらが才能アリかの2択問題を解いたり(1章)、名人・特待生の昇格か降格かを考えたり(2章)、赤ペン先生に代わって添削したり(3章)…と、どの章も問題を読者が自分の頭で考えていくことで、俳句の構造や詩の生み方などの「才能アリ」の極意などが学べる一冊になっています。
過去に見た番組が、問題を解いていくときのヒントになって回答までの道筋を助けてくれるので、難しい俳句の勉強はどうも…という人に、気軽に始めて深く学べるオススメの書。番組を見ていない人も、詳しい解説があるのでしっかり学べます!

もちろん、公式本ならではの裏話も!

  • 2018.01.08 Monday
  • 10:52