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備忘録〜個人的・書籍の感想〜

坂口安吾『桜の森の満開の下・白痴』『堕落論』

花盛りの日本です。桜はなぜにこんなにも美しいのでしょう。この時期だけ人を別世界に連れて行ってしまう桜を思うとき、確かに桜には人を狂わせるような魔力があるのではないか…。ふと安吾の『桜の森の満開の下』を思う時期でもあります。

ということで坂口安吾。高等学校の教科書にも収録されている「日本文化私観」は、生徒達の評判も良い作品ですが、無頼派の好きな私としてはどっぷり安吾節の強いものを…。

 

 

安吾の評論では「堕落論」が有名ですが、堕ちきることによって自己を発見&救済するという発想は、ある意味究極のプラス思考なのかもしれないなあと。古い習慣や道徳に嫌悪を示し、道徳的価値判断をしない無頼的作品が、なぜか読者を惹きつけてしまうのは、人間の欲望こそが生活の真実であり、人間の真実だというところに軸足を置いているからなのでしょう。そして、人間は、悲しく、孤独で、苦しいものなのだ、と…。安吾の小説の女性達が凄惨の極みであっても、なぜか嫌悪しきれないのも、そこに究極の人間の自然があるからかもしれません。

  • 2018.03.31 Saturday
  • 22:18

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

スティーヴン・W・ホーキング『ホーキング、宇宙を語る ビックバンからブラックホールまで』林一訳

2018年3月14日のスティーヴン・ホーキング博士の死去のニュースは、物理学と全く無縁の生活をしている私にとっても動揺するニュースでした。最近では、エディ・レッドメインがアカデミー主演男優賞を受賞した映画「博士と彼女のセオリー」から、「車椅子の天才」スティーブン・ホーキング博士に興味をひかれた人も多かったのではないかと思います。

そのホーキング博士が、数式を使わず大衆に向けて書き、世界的大ベストセラーとなったのが『ホーキング、宇宙を語る ビックバンからブラックホールまで』。

 

 

大衆向けに書かれたとは言え、やはり難しい!専門用語への理解が足りないという問題以上に、物理学を専門としていない私(たち一般大衆)が、物理学に独特のかなり抽象的な思考回路で(宇宙を)考えていくことになれてないことからくる難しさを感じます。物理学的抽象度というのは、文系の評論の比ではないなあと改めて。そもそもの発想の生まれるプロセス自体にもいちいち驚きながら、なるほど!と読みすすめました。私自身がこういう思考回路の中で思考するタイプでないのが良く分かる読書体験でした(笑)

内容は、1987年の執筆当時のものですので、現在の研究はさらに進歩しているのだろうと思います。とはいえ、直接そういった研究に関わることのない私にとっては、この本によって、これまで触れることのなかった物理的思考回路が存在することと、その発想の意外さに触れることができたことそのものを大変面白く感じました。(ブラックホールとは…、私たちは秩序を無秩序に変換して生きている…etc.)科学者による最先端の研究というのは、その道の専門家でないと手も足もでないくらい、それぞれの分野にどんどん特化されているということなのでしょう。

  • 2018.03.24 Saturday
  • 17:03

お問い合わせ先

nhkk句会運営について 緊急アンケート

※4月10日をもちましてアンケートは終了いたしました。

 アンケートへのご協力、心よりお礼申し上げます。

************

日本俳句教育研究会もおかげさまで10年の区切りをむかえ、4月28日より11年目に突入します。
そこで、皆様にnhkk主催の句会についてアンケートを実施いたします。

 

nhkk句会運営について 緊急アンケート 

(↑ここをクリック)

アンケート回答期間 2018年3月20日〜4月10日 ※終了しました

 


これまでnhkkでは、実技研修句会(*)→ネット句会を開催してきましたが、ただ今句会を休止中です。
今後の句会運営を考える参考にさせて頂きますので、皆様からの忌憚のないご意見をお寄せください。
会員登録の有無にかかわらず、アンケートにはお答え頂けますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

*「実技研修句会」とは、通常の句会に加え、俳句指導でお困りの点などについての意見交換の会です。先生方の明日の授業にお役に立てることを目指しています。


※このアンケートは、句会の開催をお約束するものではありませんので、ご了承ください。

  • 2018.03.20 Tuesday
  • 10:00

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』

第158回芥川賞受賞作。題名から、宮沢賢治の「永訣の朝」に出てくる妹トシ像をイメージしてしまったので、全く別物の話で驚きでした。
63歳の若竹さんの描く75歳間近の桃子さん。彼女の心の最古層にある原初のイメージが東北弁で、東北弁で語ることが、彼女自身を汲み上げて顕わにしていくものという設定です。本心は東北弁によってのみ語られます。

 

 

一番の驚きは、セリフの「おらおらでひとりいぐも」が、賢治の詩の「一人で死んでいくと」いう意味でなかったところでしょうか。とは言いながら、桃子さんが到達していく境地が「全てのものが、まぶしくみな輝いている」ところなのだとしたら、それはある意味トシの達観した境地にも繋がるところがあって、やはり、題名は賢治の詩を彷彿とさせる「おらおらでひとりいぐも」である必要があったのでしょう。いわゆる老年を過ごす桃子さんが、まだ見ない世界へ独りで行こうとする心意気(!?)と、作者の実験的な書きぶりが、芥川賞選考委員の心を動かしたのかもしれません。

  • 2018.03.17 Saturday
  • 08:44

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

門井慶喜『銀河鉄道の父』

第158回直木賞受賞作。
宮沢賢治とその父…ということで、きっと親子の確執の話だと思って読み始めたら、なんと現代のイクメンに繋がるような親バカパパの話で驚きました。
もちろん、父子の「対立」は描かれるのですが、これまで「父とは相容れなかった賢治」という印象が強かったので、この時代設定で、ここまで息子を献身的に(偏)愛する父親であったことの方が衝撃的で、むしろ友好的な父子関係の印象ばかりが残りました。
きっと門井さんも、実際の父の意外なエピソードに行き当たり、書かずにはいられなかったということでしょうか。しかも、いわゆる「確執」の原因と言われている宗教的対立の部分も、実は…という展開で締めくくられていて、これまた驚かされました。

父子の交流の中で、宮沢賢治の文学性を含めた賢治像を描き出す、というよりは、賢治というのは材料に過ぎず、父子の関係性そのものを紡ぎ出すことに主眼がある作品と感じました。

 


文学的解釈という意味で、一番驚いたのは、妹トシの「永訣の朝」にからむ門井さんの解釈の部分でした。高校の教科書にも載っていてあまりにも有名な詩ですが、トシのセリフの部分を、作家としての賢治の創作開眼という視点で展開していたのはなかなかに面白く感じました。
ちょうど、「永訣の朝」のトシのセリフの一部「おらおらでひとりいぐも」が題となった作品が同時に芥川賞に選ばれているようです。次は芥川賞に手を伸ばしてみたいなと思っています。

  • 2018.03.10 Saturday
  • 19:45