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w closet×JUGEM

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

山田詠美『珠玉の短編』『4 Unique Girls 人生の主役になるための63のルール』

私は通常、胸やけするほどのコッテリとした性愛を描く作家、もしくは、思春期の少年少女の発情の有様に美辞麗句を並べてハッタリかます作家、さらには、手のかかる子供らに無垢という罪状をでっち上げる作家として知られていますが、実は言葉用の重箱の隅をつつく病の重症者なのです。

「言葉用重箱の隅つつき病−あとがきにかえて」より

 

 

『珠玉の短編』は、第42回川端康成文学賞受賞作「生鮮てるてる坊主」を含む11編の短編集。「珠玉」という題名とは真逆の印象を与える作品のオンパレードで、残酷さが山田詠美的毒として注入された、これでもか、これでもか、の11編。テーマもそれぞれ、心に潜む闇をつくような人間の怖さなど、かなり振り切った衝撃的な詠美ワールドですが、そこに「珠玉」をはじめとした、「箱入り娘」「骨まで愛して」「命の洗濯」「蛍雪時代」という死語的(!?)題名を配していくところにも彼女のアイロニーを感じます。彼女の作品群で言うならば、野間文芸賞受賞作『ジェントルマン』的系譜の短編が並んだと言えば分かりやすいかもしれません。もちろん、短編でなくじっくりと読みたくなり、『ジェントルマン』に加え、『学問』まで持ち出してきてしまったのは言うまでもありません。

 

 

『4 Unique Girls 人生の主役になるための63のルール』は女性誌『GINGER』の巻頭エッセイをまとめた一冊。(現在も連載は続いているらしいですが、)初っ端から、女性誌のテーマとなりそうな「自分磨き」や「ポジティブシンキング」にもの申すところから始まり、エイミー節が満載で、ファンはたまらずにやりとしてしまいます。彼女の目指す「腹に一物」持ちながら自分が主人公となって生きる「ユニーク」な女性像には納得で、いわゆるステレオタイプの調和を目指す啓発本よりは、よっぽど血にも肉にもなることうけあいです。

  • 2018.06.30 Saturday
  • 20:59

夏休み句集を作ろう!コンテスト

第12回夏休み句集を作ろう!コンテスト 募集開始

日本俳句教育研究会が、朝日新聞社・マルコボ.コムとともに主催しております、「第12回夏休み句集を作ろう!コンテスト」の作品募集が始まります。
※応募締切 2018年9月20日

第11回 コンテスト結果

 

 

小中学生対象の「夏休み句集を作ろう!コンテスト」は、一年間に作った俳句40句を、『句集コン必勝ガイド』に付属の応募冊子を使って句集に仕上げ、応募いただくコンテストで、子どもたちに必要な「ことばの教育」を「俳句」を通じて行うことを目的としています。
俳句を詠み、句集を制作する過程で、俳句が単なる国語の教材としての枠を超えて、せいかつのあらゆる場面におけるコミュニケーションツールとして機能し、子供たちが周囲の人や物事への理解を深め、自分自身を見つめるきっかけになればと考えています。

9月20日が締め切りです。皆様からのご応募お待ちしております。

 

 

『句集コン必勝ガイド』は、学校生協(愛媛県教育用品株式会社)、愛媛県内の各朝日新聞販売店(ASA)、松山市立子規記念博物館ならびにマルコボ.コムなどにてお買い求めいただけます(380円 税込・応募冊子返送料込)。

  • 2018.06.29 Friday
  • 20:38

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

カミュ『異邦人』

「きょう、ママンが死んだ。」の冒頭文であまりにも有名なこの作品。読んでみると、この文章のみから受ける印象とはまったく違った、期せずして殺人者になってしまった男の話であることに驚きます。いやむしろ、世の中の不条理の犠牲になった男と言った方が良いのかもしれません。

 

 

主人公ムルソーは、亡くなった母親の年齢も答えられないし、葬式の翌日に女性と関係を結ぶなど、一見、虚無的とも言えるような無関心さで存在するのですが、読み進めて行くにつれて、本当に虚無と形容して良いのだろうか…と疑問がわいてきます。

もちろん、友人の女出入りに関係して、殺人を犯してしまいながらも、何の自己弁護をすることもなく、動機を「太陽のせい」だとしか答えずに、結果的に裁判で死刑を宣告されてしまうムルソーは、群衆をいらつかせる何かをはらむ無気力な人物のようにも見えます。

しかし、結末で、自らの処刑の日には見物人たちが憎悪の叫びを上げながら自分を迎えることを望むムルソーに至る時、真実を見つめることなくご都合主義で判決を出していく世の中の人々とは違った、達観した人物として描かれているのではないか、とさえ感じられてきます。むしろ、世間の常識という正義でもって人を裁き、結果的に不条理な判決を生み出してしまう一般大衆の方が、よほど危ういのではないかと。

世の中の当たり前に対して「異邦人」でしかいられないムルソー。異端者としてあるものが、葬られるしかない現実を示すため、そして、そんな異端者を盲目的に罰しようとする愚かな一般大衆を暴くために、彼は存在しているのかもしれません。

  • 2018.06.23 Saturday
  • 13:39

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

中島京子『FUTON』・田山花袋『蒲団』

中島京子さんのデビュー作が、なんと日本の自然主義文学の代表作であり、私小説の出発点ともいわれる田山花袋『蒲団』のパロディだったとは!

『蒲団』は、妻も子もいる中年の小説家(竹中時雄)が、一方的にプラトニックな思いを寄せる女弟子(横山芳子)が男性問題で故郷に帰された後に、残された部屋で彼女の使っていた蒲団や夜着に顔をうずめて泣く話として有名で、実際にモデルがいたこともあり、「赤裸々な内面を大胆に告白」した面が取り上げられる作品です。

 

 

『FUTON』は、アメリカの花袋研究家であるデイブ・マッコーリーが主人公で、『蒲団』の時雄、芳子、そしてその恋人田中の三角関係(?)に似た関係が、デイブ、エミ、ユウキの中で繰り広げられます。しかし、三角関係と言いながらも、時雄の恋(のようなもの)は中年男の一方的なものですから、人物→人物△悗了廚い箸靴童るならば、時雄→芳子の関係に似たものは、『FUTON』の登場人物の中にいくつもの関係を見つけることができます。ウメキチ、イズミなど…いくつもの人物の絡み合いも読みどころです。

そして、何より面白いのは、合間に挟まれる、デイブ・マッコーリーの書く「蒲団の打ち直し」という小説です。これは『蒲団』では「旧式」の女性で名前も与えられていなかった時雄の妻目線で書かれたもので、「美穂」という名を与えられた彼女の煩悶が手に取るように分かります。そして、彼女が最後にたどり着く先が、これまた『蒲団』に書かれていなかった別次元の問題へと発展していきそうなところで終わり、そうきたか!、とうならされます。

『蒲団』から『FUTON』の順番で読まれることをオススメします。

  • 2018.06.16 Saturday
  • 13:49

事務局レポート

青山学院女子短期大学同窓会 俳都松山の二日間

青山学院女子短期大学同窓会・四国支部の総会が松山で開催され、この機会に俳都松山で俳句三昧の二日間を…ということでご一緒させていただきました。

 

 

一日目は、「俳句のレクチャー」→「坊っちゃん列車&子規記念博物館吟行」→「お食事句会」です。
心配していたお天気が嘘のような梅雨の晴れ間、坊っちゃん列車に吹き込んでくる風がなんとも気持ちよく、(漱石の言う)マッチ箱の中が学生時代に戻ったような華やかな声で満たされていました。

昨年展示が新しくなった子規記念博物館では、ガイドの方も付いてくださり、分かりやすい説明で子規について学びながらの吟行となりました。展示方法も、プロジェクションマッピング的見せ方も加わっていたりで、また改めてゆっくり訪れてみたいと感じました。

 

 

俳句を作ったこともなければ、句会は初めて、とおっしゃる方がほとんどでしたが、2句以上投句してくださった方も多く、一品一品丁寧に作られた美味しいお料理に舌鼓を打ちながら、自分たちの俳句を大いに語り、愉快な俳都松山の夜となりました。

 

二の腕の白きへ汽笛梅雨晴間

ぼっちゃん列車手をふるわらべの玉の汗

夏帽子子規の額の広ければ

(句会高得点句より)

 

 

二日目は、同窓会総会。

第二部の懇親会の余興として、即興画のキム・チャンヒさんと一緒の句会ライブです。
同窓会の通称が「ゆりの会」と言うことで、事前投句には「百合」の句が沢山集まりました。

俳句に絡んでの皆さんのお話がどれも素敵で、楽しく、笑いの絶えない句会ライブで、私自身まで学生時代を懐かしく思い出しました。

 

同窓の宴華やいで百合や百合

残香はゆりの吐息か夜の静寂(しじま)

(事前投句より)

 


また、総会でご講演された吉岡康子准教授は、牧師様でもいらっしゃるということで、句会ライブの中で宗教的な「百合」のイメージについてお聞きすることもできました。「希望」の花である「百合」のお話は大変興味深く、季語「百合」への理解がさらに深まったように感じました。

書道のお得意な方が、決勝の5句を墨で書いてご準備くださっていたり、入賞の記念にと短冊もご用意くださったりと、お心遣いも素敵な同窓会でした。

  • 2018.06.10 Sunday
  • 18:16