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備忘録〜個人的・書籍の感想〜

小池真理子『恋』

前回の『二重生活』に引き続いて、小池真理子さんの第114回直木賞の受賞作品『恋』です。

タイトルだけを見ると、所謂恋愛小説なのかな…と想像しましたが、これが一筋縄ではいかない様々な「恋」が入り混じった作品で驚きました。描かれた「恋」の形は様々で、しかもどれもが普通に「恋」という文字面から想像するタイプの「恋」とはかけ離れたもので驚かされました。

 

 

裏表紙には、

 

1972年冬。全国を震撼させた浅間山荘事件の蔭で、一人の女が引き起こした発砲事件。当時学生だった布美子は、大学助教授・片瀬と妻の雛子との奔放な結びつきに惹かれ、倒錯した関係に陥っていく。が、一人の青年の出現によって生じた軋みが三人の微妙な均衡に悲劇をもたらした…。全編を覆う官能と虚無感。その奥底に漂う静謐な熱情を綴り、小池文学の頂点を極めた直木賞受賞作。

 

とあります。

冒頭で主人公布美子の行く末が語られているにも関わらず、最後の最後まで先が読めまないミステリーとなっています。とにかく、一つ一つが用意周到に積み重ねられ、結末まで組み立てられているので、ネタバレの観点からは、上の解説以上の内容については全く語れません。もちろん話の筋の面白さの魅力もあるのですが、そこに悲しい人間の性が驚きの展開の中で描き出されていき、先へ進めば進むほど退廃的な空気感をまとった純文学的読みごたえが加わっていって飽きさせません。

何か(誰か)をひたすらに恋う心が、幾重にも描かれた作品なので、これまで一途に思いをかけたことのある人(かけたいと願う人)であれば、何かしら立ち止まらずにいられない、思わず読み続けさせられてしまう、そんな作品でした。

  • 2020.06.06 Saturday
  • 22:04

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