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備忘録〜個人的・書籍の感想〜

奥田瑛二『男のダンディズム』

男のVシリーズの中から、俳優としても、映画監督としてもご活躍の奥田瑛二さんの『男のダンディズム』を。

「一人の男が、自分の中で完結させるべきもの」が「ダンディズム」であり、男の優柔不断で投げやりな、情けない部分も、時代の流れの中で試行錯誤しながら生きる「クール」な姿だと語っていきます。どこまで自信を持った人生を歩んでいけるか、人を輝かせ強くするダンディズム論が奥田節で述べられます。

 

 

そして、50歳から新たに映画監督の道を進み始めた奥田さんにかかると、「老い」は「人生を走り続けるために費やしてきた燃料の、残量切れを意識するとき」となり、そこからさらに進もうとする人には「最高級ハイオクガソリンと、ターボ搭載エンジンがプレゼントされ」、「まったく違う風景を楽しみながらの快適な旅が待っている」ということになります。

また、役に憑依されたようになり、自分と役がぴったり合うところをこえて120%になるくだりなどは、役者ならではの感覚を覗くことができて大変興味深いところでした。しかも、その高揚感万能感の域が役になりきることなのではなく、演技に客観性を生むためには95〜97,8%のところまで戻していく必要があり、それが役になりきった状態だという説明には驚き、また納得させられました。

さらに、映画のフィルムが水を通して生まれる様子を、胎児の誕生になぞらえているのも映画監督ならではで、その過程で「魂」を入れ「産み落と」していくという表現からは、映画への愛が伝わってきました。映画に必要なものとして「湿り気」をあげ、それを「感動」と言い換える奥田さん。結局それは、私たち全ての人間にとっても必要な生活の、そして精神の潤いなのだろうと感じさせられました。

 

人の心の中に深く入り込んでいって、そこから浮き上がるものを、僕色に染めていく。作品を撮る以上、そういうものでないと意味がない。社会的なテーマを持った作品世界の中で、登場人物たちはそれぞれの人生をうごめいている。その軋轢、摩擦、いろんな感情の中で愛を表現していく。

作品の中にも、いろんな愛がある。それは、遠大なものから小さなもの、さらにピンポイントのものもあって、それらをエピソードとしていくらでも組み込んでいけばいい。これらを、自分の経験値の中で、一つひとつしっかり作っていく。そのバランス感覚は、映画を作る上で欠かせない。僕は、そういう大きな流れの中で、人間を描いていく作品を撮りたいのだ。

  • 2019.12.21 Saturday
  • 20:26

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