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備忘録〜個人的・書籍の感想〜

大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓魂結び』

実在した人形浄瑠璃作家・近松半二の生涯を描いた第161回直木賞受賞作。

主人公は、あの近松門左衛門の硯を譲り受けて、「せめて半人前になるように力を尽くそう」、「半分と半分、二つ合わせて一人前」と名乗りはじめた近松半二。そして、その半二の脇を魅力的な登場人物たちが支えます。斬新なアイデアで歌舞伎界に新風を吹き込むことになる並木正三は、半二のライバルであり、真の理解者。ちょっと癖はあるものの、油断してると「腹ん中が、ひきずりだされる」ような人形を使い、半二を浄瑠璃作家の道へ引きずり込んだ吉田文三郎。肝が据わった女房のお佐久などなど…。枚挙にいとまがありません。代表作でもある『妹背山婦女庭訓』の作成過程をど真ん中に据えて、「ぶっとい芯」のある浄瑠璃を目指す半二たちの物語です。

 

 

それぞれが、それぞれの役回りを背負って動いてる狂言のような「この世」。私たちが生きる世こそが妖かしであり、この世もあの世も虚実の渦である。そんな渦の中から、生まれたがっている詞章をずるりずるりと引き出して、人の世の凄まじさを文字にしてつなぎ止めていくのが人形浄瑠璃である。

人形浄瑠璃の世界の「渦」だけでなく、読者それぞれが生きている世界にある普遍的な「渦」までを意識させられるような作品でした。

人形浄瑠璃という「まことの妖かし」に翻弄されたくなって、さっそく公演情報を検索してしまっています(笑)

  • 2019.09.28 Saturday
  • 19:58

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