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備忘録〜個人的・書籍の感想〜

阪田寛夫『土の器』

前回の大浦みずきさん関連の二冊に続き、今回は父・阪田寛夫さんの『土の器』を。本作は、第72回芥川賞受賞作「土の器」および、大浦みずきさんについて描かれた「ロミオの父」が収録されているとのことで手に取りました。

読んでみると、「音楽入門」−父、「桃雨」−祖父、「土の器」−母、「足踏みオルガン」−叔父(作曲家・大中寅二)、「ロミオの父」−娘(大浦みずき)という作者の家族を描いた作品集となっているところに驚きました。前回の内藤啓子さんのエッセイ『赤毛のなっちゅん』に家族関係が詳しかったこともあり、また、それぞれの作品に同一人物が繰り返し登場していくこともあって、作者の意図とは全く別のところで、私個人としてはエッセイを読んでいるのか…、小説を読んでいるのか…、煙に巻かれたような不思議な感覚で読み進めました。

 

 

末期がんの母が主人公の表題作「土の器」。厳格なキリスト教徒で、「目の前の些細なことに一喜一憂する当たり前の人間の気持というものを最初から認めず、厳しく拒む母」が、「痛み」から逃げ出さない決意で病気にのぞむ様子を、その母を真正面から受け止める家族たち(母とは別のキリスト教徒として描かれる嫂が魅力的です)と共に描かれていきます。

本文の記述、そして、題名から次の新訳聖書の一節に行き当たりました。キリスト教とご縁なく過ごしてきた私ですが、もろくて弱くてはかない私たち人間を、「土の器」としてとらえるこの一節を知ることで、より母が理解できた気がしました。

 

「やみの中から光が照りいでよ」と仰せになった神は、キリストの顔に輝く神の栄光の知識を明らかにするために、わたしたちの心を照して下さったのである。しかし、わたしたちは、この宝を土の器の中に持っている。その測り知れない力は神のものであって、わたしたちから出たものではないということが、あらわれるためである。わたしたちは四方から患難を受けても窮しない。途方にくれても生き詰まらない。迫害にあっても見捨てられない。倒されても、滅びない。いつもイエスの死をこの身に負うている。それはまた、イエスのいのちが、この身に現れるためである。

コリント人への第二の手紙 4章6〜10節

(『新約聖書』日本国際ギデオン協会)

  • 2019.05.31 Friday
  • 23:10

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