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備忘録〜個人的・書籍の感想〜

羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』

第153回芥川賞受賞作。辞書的には「スクラップ・アンド・ビルド」とは、「老朽化したり陳腐化したりして物理的または機能的に古くなった設備を廃棄し、高能率の新鋭設備に置き換えること」。母と二人で、87歳の祖父の介護をする28歳の転職面接中の青年・健斗が主人公なのですが、何が「スクラップ」で、何が「ビルド」なのか、簡単に答えが出せるものではなく、何層にも仕掛けられている作品だと感じました。

 

 

「もう死んだらよか」と繰り返す祖父の願望を「本当の孝行孫」として叶えるべく、尊厳死をアシストしようとする健斗。日々自らの肉体を筋トレで鍛え上げ、よりよい肉体を再生し続ける健斗。中途採用面接と、行政書士の資格試験の勉強とを続けながら、人生を再構築しようとする健斗。

死に向かう祖父とは対局にある存在のような健斗ですが、弱っていく祖父が将来の自分の姿であるという苛立ちを払拭できない彼自身も描かれており、実は二人は対極ではないのではないか…、「スクラップ」され「ビルド」されるものとは…と考え込んでしまいました。祖父の戦争時代の話の真偽や、祖父の本当の願望、そして、結末で健斗が置かれた状況などなど…、結末そのものはとても明快に書かれているのですが、読者それぞれに様々な解釈が許されている作品でした。

  • 2019.05.18 Saturday
  • 20:08

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