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備忘録〜個人的・書籍の感想〜

沼田まほかる『ユリゴコロ』

1月に紹介した沼田まほかるさんの作品『彼女がその名を知らない鳥たち』が、単なるミステリーに留まらず、綺麗事ではおさまらない人間たちを丁寧に描いていて、なかなか興味をひかれたので、再度彼女の作品を手にとってみました。

殺人に取り憑かれた人間の、これまでの生々しい殺人を告白したノート「ユリゴコロ」を巡る物語で、ノートを見つけた亮介を主軸に、ノートの内容が明かされると同時に、彼を取り巻く人間関係のありようがオセロのようにひっくり返されていく驚きのミステリーです。

 

 

書名でもある「ユリゴコロ」は、ノートの著者が“心の寄り何処”というような意味で使った言葉です。初めは殺人が唯一の心の拠り所であるという意味の「ユリゴコロ」でしかないのですが、物語が進むに従って読者は、それぞれの登場人物たちの人を愛することを生きる拠り所とする「ユリゴコロ」を見せられてしまっている作品となっていきます。血なまぐさい殺人がいくつも織り込まれながらも、読後感にそれほど後味の悪さを感じないのは、人を愛することを「ユリゴコロ」とする登場人物たちを、読者が嫌悪しきることができないからなのでしょう。数々の殺人が社会的に罰せられないところに物足りなさを感じる読者もいるかもしれませんが、(『彼女がその名を知らない鳥たち』も罰のない作品だったこともあり、)作者にとっては、無償の愛や許しのようなものを描くことが主眼なのかなと感じました。

『ユリゴコロ』は2017年に映画になったようですが、原作にかなりアレンジが加えられているとかいないとか…。さて、どう料理されているのか…、そちらも観てみたくなりました。

  • 2019.03.09 Saturday
  • 11:14

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