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備忘録〜個人的・書籍の感想〜

沼田まほかる『彼女がその名を知らない鳥たち』

蒼井優主演の映画『彼女がその名を知らない鳥たち』は、そのコピー通りの「共感度0%、不快度100%」の「最低な女と男」のオンパレードで、それを演じる俳優さんたちの演技におののき、また賞賛しながら、「まぎれもなく愛の物語」としてのラストに衝撃をうけた作品でした。このあとの主人公はどうなるのか…、この結末は彼女の救いになっているのか…。ラストの解釈に悩んで手に取った原作本でした。

 

(写真は映画ポスターより)

 

原作では、主人公北原十和子と十和子から見た佐野陣治が丁寧に描かれていきます。二人が最低な人間なのは映画と変わらないのですが、十和子が陣治を嫌悪し、疑心暗鬼にかられながらも、彼から離れられない何かを抱いている様子が丁寧に書き込まれていきます。そして、執拗に出てくる象徴的なカラスの描写。もちろん、ラストの展開は同じなのですが、原作本を、十和子と陣治の物語として読んでいくと、その後の十和子の人生や、題名の「鳥たち」の意味が、やっと腑に落ちた気がしました。

 

 

(以下ネタバレありです)

陣治の死という、現実の生活の中で確かにそこにあった愛を手離すことでしか得られない「究極の愛」。しかし、宙ぶらりんに生きてきた十和子にとっては、この愛による解放が唯一の救いだったのかもしれません。子どもを産むことへの執着を持っていた十和子に、「俺を産んでくれ」と生きる道を遺していった陣治。ラストで滑空するように虚空へ迷い込んでいった陣治は、彼女をカラスたちから解放する鳥であり、また、「たった一人の十和子の恋人」として、十和子の一生の終わりまで内部を落下し続ける鳥となったのでしょう。

  • 2019.01.13 Sunday
  • 18:27

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