Categories

Calender

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2018 >>

Recent Entries

Archives

w closet×JUGEM

実践報告・お便り

岸本尚毅先生「出前講座」

ご活躍中の俳人・岸本尚毅先生より、小学校3年生を対象に実施された「出前講座」のご報告をお寄せいただきました。

nhkk書籍『俳句の授業ができる本 創作指導ハンドブック』付属のサンプルCDを使っての「出前講座」。

書籍にはない、子ども達を動かせていく岸本先生ならではアイデアも参考になるご報告です。

 

 

黒羽芭蕉の里全国俳句大会の翌日に行った俳句の出前講座について報告します。

 

2018年6月25日(月)14:00〜14:45

講師 俳人:岸本尚毅(黒羽芭蕉の里俳句大会選者)

学校 大田原市立薄葉小学校

対象 3年生60名弱(2クラス合同)

 

【実施結果】

45分の授業でとにかく1句作ることを目指す。

授業の冒頭に、イメージを脹らますためのお題、たとえば「風」「水」「光」などの言葉を挙げてもらう。

数名の児童が積極的に手を挙げ「虫、雨、火、夏、秋」など合計十個以上の「お題」が挙がった。

講師はそのお題をホワイトボードに書く。

 

さらにイメージを脹らませるため、三浦・夏井編「俳句の授業ができる本―創作指導ハンドブック」に付属の句会ライブ用のCDを10分弱聞かせる全部聞くと長いので、数種類の音を1〜2分ずつ)。

 

聞き終わったところで「自由に想像して五七五の言葉の塊をつくりましょう。制限時間15分。

教室の時計で〇時〇分まで。季語にはこだわらない。どんどん作ってください。」と指示。

 

大きめの「短冊」と太字の水性ペンを配布し、句が書けたらどんどん出してもらう。一人複数の出句も可。

制限時間は厳守。15分後にほぼ全員が出す句(数句作った子もいる)。

 

句を書いた短冊をホワイトボードの裏面に貼っておいて、作句時間が終了したら、ホワイトボードを裏返す。

すると皆さんの作品がいっせいに出現(写真参照)。

 

授業時間は残り15分。全ての句を一言ずつほめる。どんな句でも何か取り柄を見つける。

形が出来ていれば「ちゃんと俳句になっていますね」。形が出来ていなくても「実感があります。よくわかりますね」。

あるいは「ユニークですね」。大人びた句なら「風流ですね」等々。

 

一句について講師が褒めるたびに、子供たちから自然に拍手が湧いた。

友達の句に対する講師のコメントを傾聴し、褒められたら皆で拍手して称えている。

全句コメントした時点でちょうど45分の授業時間が終了。

 

午後2時始まりの3年生2クラスであったが、十分に集中できた授業であったと思う。

 

********************

CDの音だけでなく、イメージを膨らませるための「お題」を児童から出させる冒頭は、児童達が気付かずしてすでに俳句作りが始まっている仕掛けになっており、しかもそれが作りたい欲求を後押しすることになっている点、ぜひとも試してみたいと思いました。
また、児童が自身で短冊に清書していく作業は、時間の短縮をはかることもできながら、三年生にとっては完成した作品を作るまたとない経験となっており、俳句作りにプラスした達成感を得られたのではないかと感じました。

芭蕉の里で、自分たちの俳句を褒めてもらい、また、お互いをたたえ合う俳句の時間。

岸本先生、小学生と俳句との素敵な出会いのご報告をありがとうございました。

  • 2018.07.15 Sunday
  • 09:00

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

河合俊雄『ユング 魂の現実性(リアリティ)』〜現代思想の冒険者たち03〜

哲学者の池田晶子さんが、著書『人生のほんとう』の中で、「ラジカルで面白い」ユング心理学者として紹介していたのが、河合俊雄さん。父・河合隼雄さんが、文化庁長官という立場にあったことを引き合いに出しながら、

「そういう制約の全然ない人が魂の事柄に入り込むと、ああ、なるほどこうなるのかというぐらい、完全に狂気に入り込むことができる。狂気という言葉はもちろん、私にとっては最大の褒め言葉ですけど。(笑)非常に面白い経験でした。」

と。また本書については、

「それがとても読みやすくて、また不気味でよかった。おすすめします。」

と。ということで、全くご縁のなかったユング心理学を!

 

 

まず驚いたのが、「心理学が自然科学とも哲学とも違う」点として、「心理学的な事実、ファンタジーを扱う」としているところでした。神経症に適応していくためには、「現実を造りだし、ひいては神経症を作り出しているファンタジーをいかに見抜いていくかが問題」とのこと。「現実性とは人の魂の活動によって、ファンタジーの働きによってしか与えられない」、それならば、その「魂」とは…という本書。

「自我」「自己」「個性化」「無意識」「結合」「錬金術」などのユング的キーワードはもちろん、フロイトとの決別を盛り込みながら、ユング心理学にどっぷり浸ることができます。なぜ心理学に「錬金術」?との素朴な疑問も、錬金術で生み出した物質ではなくて、その「作業における心理学的な過程に注目」しているのだと分かると納得です。魂の生み出した全てを現実のものとして受け止めていくユング心理学が分かりやすく解かれていきます。

それにしても、ユングが実際に見たという「夢」や「幻覚」の数々に驚きます。3、4歳の頃の夢でさえ、私自身には一生かかっても絶対に見られないような象徴的で、おどろおどろしいもので…。オカルト現象を現実のものとして受け止めるあり方ともあいまって、やはりユングだからこそたどりつけたユングの思想なのを実感した評伝でした。

  • 2018.07.14 Saturday
  • 09:47

実践報告・お便り

ラーニングカフェ「ミニ句会 」即吟+みんなで句会(60分)

※ブログをご覧の皆様へ※

 nhkkブログの実践報告記事や『俳句で授業ができる本』の内容、及び研究発表大会での資料等は、会員はじめ皆様が、俳句を使った授業等を考えられる時のお役に立てば…との思いから掲載・出版・配布しております。どうぞご自由にお使いください。なお、実践等を発表されます時は、参考元としてnhkkの名前をお入れください。教師や俳句愛好家の情報交換の場として、nhkkが機能できればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

福岡女学院高校 谷口奈々美先生より頂きました、60分のラーニングカフェ「ミニ句会」の実践報告です。

 

 

ラーニングカフェとは、単発でいろいろな教師が出入りして行う放課後の学習会です。

今回の対象者は教職課程の大学生と高校生の18名。

60分で説明、作句、清記、選句、選評せねばならず、授業のようにゆっくりと説明できません。
これまでの授業で使った句会プリントを改良、取り合わせの技も自分流に咀嚼して語りながら、全員が五分で俳句を作りました。
中学生のときに句会体験した生徒たちは、一物仕立てで作っていました。

B4サイズの色画用紙に清記した作品をホワイトボードに貼り付けました。
ポストイットに俳号を書き、特選一句、入選二句を選んでもらい、貼り付けてもらい、選句の時間軸を短縮。
上位八位までは、選評を言ってもらうことができました。

 


    俳号を作ろう
    俳句とは?  創作 +選評(俳句と脳の関係も) 
[季語][定型]       
    俳句の作り方
(一物仕立て)(取り合わせ)
A 白ぼたん覚醒という言葉ある    星野一郎 
B 白牡丹といふといへども紅ほのか  高浜虚子

(一物仕立てや簡単な型はこのほかにも紹介しました。)
    実践ー一つの例、一つの型なので、このとおりにしなくてもかまいません。
  ア、    最初に『俳句のタネ』十二音を考える→季語五音
  イ、    「今をよむ」 今の思い、見たもの、気になること、食べたもの、一日を振り返って・
  など、オリジナルでつぶやいてみよう。できれば向日性の方向で・挨拶もいいです。
  ウ、    全体を見直してみる・物に語らせる。・切れがあってもいいね。「や・かな・けり」
   例、童女めく母と喧嘩し悔やむ夏
    添削後    ↓
      童女めく母と喧嘩す桃に疵
    句を提出―他の人の句を選び、清記―ホワイトボードへ貼る
    選句→入選二句黄色+特選一句ブルーのポストイットを貼る
    選評→表彰式―おめでとう祝
  

(事務局注:ポストイットを貼って時間短縮というのは使いたいアイデアです)


作品 ー互選高点句より  特選2点+入選1点
1 せみの声母の声と大合唱 10点(特選 アナベル・わかめ・メイサ 入選 白えんどう・星・山ねこ・愛)

2 やる気さえはてなく溶ける熱帯夜  9点(特選 山ねこ・愛・白えんどう・水色/入選 メイサ)※谷口選

3 色香り渇きをさとすソーダ水   7点(特選 ノコ・咲良・花 入選 星)

4 テスト結果私の心夏の雨 6点(特選 わらび餅・咲良・水色・ノコ)

5 部活中みんなのほおはさくらんぼ 5点(特選 星 入選 咲良・なつみかん)

6 アイスクリーム買いに行くため汗流す 5点(特選 うみ・ピンキー 入選 あんにん)

7 飛び出したいつもの景色ソーダ水 4点(入選 山ねこ・うみ・白えんどう・わかめ)※谷口選

8 揚羽蝶大志を乗せて羽ばたくよ 4点(特選 茶・あんにん・花)

9 自転車で坂道登る日の盛り4点(入選 ノコ・ピンキー・花・うみ)

10 車窓から見る景色もう夏夕べ3点(入選 愛・わかめ・メイサ)

11 祭りあと気温も気持ちも炎天夏 3点(入選 茶・アナベル・わらび餅)

12 終礼のあとのざわめき梅雨の晴2点(特選 なつみかん)※谷口選

13 決勝戦汗と涙と夏の空  2点(特選 あんにん)

14  朝起きて足がパンパン梅雨の朝 2点(特選 水色)

15 空暗く怪しげな雲夏の雨 2点(入選 わらび餅・ピンキー)

16 力つく見上げる夏空芝とボール 1点(入選 茶)

17 カレー食べ口の中が炎天下 1点(入選 なつみかん)

18 流行に置いていかれる夏の海 1点(入選 アナベル)

 



谷口先生より

・句会はどんなやり方をつかっても、主体的、対話的、愛ある深い学びなる優れた授業だと毎回気づかされます。(文字強調:事務局注)

・あっという間の一時間。普段の授業のように少しずつ練り上げたものではありませんが、楽しくて熱いラーニングカフェでした。

・大学生と高校生の教員希望の生徒対象の対話式授業なので、二学期もできれば入れさせていただき、また改良したいです。

・大学生はいずれ教員になる者も多いようですので、現場での俳句の授業に取り入れてもらえればという思いも込めて続けていきたいです。

・次回チャンスがあれば、三つくらいのグループにわけての同時句会も面白いなと考えています。
・生徒からは、お題を出して作って来て持ち寄る句会したい、とのリクエストもありましたので、それも取り入れてみたいです。
・高校の授業では、なかなか句会ができずもどかしいですが、後期、近世俳諧を句会方式でやれたらと考えています。

・英語科の教員が一人入りましたが、高校生の方が上手だと驚いていました。いかに毎日の授業での積み重ねがありがたいか知る学びになりました。

 

 

〜その他の谷口先生記載の資料〜

夏の季語集(五音)
夏の山・夏の朝・夏の夕・夏夕べ・夏の夜・夏の宵・熱帯夜・夏の空・夏の雲・雲の 峰・夏木立・木下闇・夏の蝶・夏の星・夏の月。南風・南風吹く(みなみふく)・風薫る 。青嵐・五月晴・夏の雨・梅雨の晴・梅雨曇・梅雨の月・梅雨滂沱・炎天下・夏日影・日の盛り・大西日・夏の川・夏の海・青田風・石清水・サングラス・ソーダ水・扇風機・水鉄砲・こどもの日・鯉のぼり・夏休み・さくらんぼ・蟻地獄・青りんご・夏の草・草茂る・月見草・ラベンダー・揚羽蝶・はたた神(雷のこと)・桐の花・夏帽子・桜桃の実・
金魚買う・夏あざみ・炎昼・月涼し・海水着・秋近し・夜の秋・熱帯魚・金魚鉢・原爆忌・夏浅し・蛇苺・時鳥・朝曇・蛍狩・砂日傘・土用波・初鰹・更衣(ころもがえ)・扇風機・蝉時雨・夏来る・ハンモック ・夏料理・夏座敷・髪洗う
(五音以外)あじさい・炎天・炎帝・緑陰・草笛・白服・夏服・アイスクリーム・初夏・立夏・昼寝・蚊・浴衣・日よけ・蜘蛛・のみ・しらみ

【参考文献】夏井いつきの超カンタン!俳句塾(世界文化社)・ みきゃん俳句手帳(マルコボ、コム刊)

  • 2018.07.13 Friday
  • 20:53

俳句関連・書籍など 紹介

星野高士『俳句真髄−鬼の高士の俳句指南』

「そもそも俳句の『俳』という文字は、『遊ぶ・戯れる・おどける』という意味である。人と違ったことをして楽しまなければ俳人ではない。」との本文に象徴されるように「遊び心」をもって、俳句を楽しみたい初心者への指南書です。

 

 

「季題」の魅力や、「季題との付き合い方」はもちろん、俳句でよく言われる「写生」についても、「写生と写実」の違いをあげて「スケッチ」だけに止まらない「俳句にとっての写生」が語られます。「『一歩近づく』のではなく、『一歩離れる』」写生、また、「着眼点を、どうやったら相手に伝えられるかを考える」ことで生まれる「客観性」など、例句をあげながら、初心者の疑問が一つ一つ解き明かされていきます。最終章は、「添削道場」で、具体的な添削例は実作の際のヒントになりそうです。

「いい句」ではなく「おもしろい句」を目指す、個性的な魅力ある俳人になるための一冊です。

 

**************

 

記録的な大雨で、各地で大変な被害がでています。松山の雨脚は弱まってきましたが、降り続く雨音をここまで恐ろしく感じたのも初めてのことで、自然を前にしてなすすべもない無力さを感じています。被害に遭われた方の少しでも早い救助と復旧を、そして、これ以上被害が広がらないことを心より祈りるばかりです。まだ雨は続くようです。どうぞ、皆様くれぐれもお気をつけてください。

  • 2018.07.07 Saturday
  • 23:07

備忘録〜個人的・書籍の感想〜

山田詠美『珠玉の短編』『4 Unique Girls 人生の主役になるための63のルール』

私は通常、胸やけするほどのコッテリとした性愛を描く作家、もしくは、思春期の少年少女の発情の有様に美辞麗句を並べてハッタリかます作家、さらには、手のかかる子供らに無垢という罪状をでっち上げる作家として知られていますが、実は言葉用の重箱の隅をつつく病の重症者なのです。

「言葉用重箱の隅つつき病−あとがきにかえて」より

 

 

『珠玉の短編』は、第42回川端康成文学賞受賞作「生鮮てるてる坊主」を含む11編の短編集。「珠玉」という題名とは真逆の印象を与える作品のオンパレードで、残酷さが山田詠美的毒として注入された、これでもか、これでもか、の11編。テーマもそれぞれ、心に潜む闇をつくような人間の怖さなど、かなり振り切った衝撃的な詠美ワールドですが、そこに「珠玉」をはじめとした、「箱入り娘」「骨まで愛して」「命の洗濯」「蛍雪時代」という死語的(!?)題名を配していくところにも彼女のアイロニーを感じます。彼女の作品群で言うならば、野間文芸賞受賞作『ジェントルマン』的系譜の短編が並んだと言えば分かりやすいかもしれません。もちろん、短編でなくじっくりと読みたくなり、『ジェントルマン』に加え、『学問』まで持ち出してきてしまったのは言うまでもありません。

 

 

『4 Unique Girls 人生の主役になるための63のルール』は女性誌『GINGER』の巻頭エッセイをまとめた一冊。(現在も連載は続いているらしいですが、)初っ端から、女性誌のテーマとなりそうな「自分磨き」や「ポジティブシンキング」にもの申すところから始まり、エイミー節が満載で、ファンはたまらずにやりとしてしまいます。彼女の目指す「腹に一物」持ちながら自分が主人公となって生きる「ユニーク」な女性像には納得で、いわゆるステレオタイプの調和を目指す啓発本よりは、よっぽど血にも肉にもなることうけあいです。

  • 2018.06.30 Saturday
  • 20:59